みちみちのこみち

ブログのような、ネタ帳のような場所です。

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マグマとタンポポ

マグマとタンポポ

 タンポポの根はおよそ地下1メートルまでも伸びており、この根を完全に切り落とすことは難しい。手で抜くにしても機械で抜くにしても一度芽生えてしまえばこれを完全に取り除く難易度は非常に高い。
 しかし我々が知る限り、この植物ほど深い根を持ちそして生物学者にとっても地質学者にとっても興味深い植物はないだろうと感じる。
 彼らは地殻を通り抜け、マグマにまで達するそうだ。そしてマグマを少しずつ吸い上げ、花を咲かせるという。本当にマグマまで達するものは少ないというが、かなり地下深いところまで根を張るために、地質を調べるときに非常に役立つという。というのも根が達している場所の成分によって花弁の色合いや成分が異なるため、根が伸びる速度や花を咲かせた時期が記録されていれば、地下の状況を目視確認できるという次第である。
 とはいえこの方法にもいろいろと問題があるのは事実だ。特に地殻の移動には影響が大きく、ところどころで根が切れてしまうらしい。さらに成長の度合いは土壌の硬さにも強い影響を受けているため、そういった事前情報がなければ、花を見て奇妙な結論に達してしまうことも多い。
 結局のところ、一目見ただけですべてがわかるような便利な道具はないということになるのだろうか。興味深い植物であるため私も少し育成してみたいのだが、コンクリートも簡単に突き破るためこの植物は自宅の栽培には向いていない。畳む


2024.1.14 執筆
#一種異様生物
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色づく魚

色づく魚

 それは無色透明の魚であるが、カフェインを好みお茶の中でよく成長する。カフェイン単体で育成することは難しいのだが、仔魚の段階でお茶に漬けておくとそのお茶の色に染まることから、一部の愛好家で非常に人気が高かった。
 近年、養殖が可能になりこの魚の値段が一気に下がったこと、とある有名な人がこの魚の愛好家であることが世間に知れ渡ってから一般の間でも広く知られるようになった。成長が遅くなり色ムラができるもののノンカフェインのお茶でも育成ができることからバタフライピーで育てた魚も人気であり、今や金魚のように誰もが飼育している魚となりつつある。
 透明な体に徐々に色がついていくのは非常に美しい。しかし飼育数が増えるにつれて事故も頻繁に起こるようになってきた。
 この魚、非常に鋭いとげを持っている。通常はたたまれておりつるりとしているが、刺激を受けると猛烈に逆立てて威嚇しつつ自らの身を守るのだ。透明なコップのお茶の中に飼育したことで、子供や場合によっては大人でも誤飲することが増えたのだ。胃酸の中では長くは生きられないが、一度逆立てたとげは引っ込むことがなくとげ自体は胃酸でも簡単には溶けない。誤飲からの激しい腹痛に悩まされて病院で手術を受けた結果、魚の誤飲であったことが発生する事故が多発しているという。
 魚を飼育する際は、その中に魚が入っていることがわかるように十分な配慮をすべきだろう。あの腹痛は尋常なものではなかった。
(筆者は経験者である)畳む

#一種異様生物
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火鼠の皮衣

火鼠の皮衣

 かつて火鼠の皮衣といえば竹取物語の中に出てくる有名な婿選びの一説であった。しかしながら火山内部まで調査研究ができるようになった昨今では、ヒネズミとは実在する動物であり活火山の中を泳ぐように生きるモグラとハリネズミの中間種であるとされている。分類に関しては諸説あるので詳しい話はいったん脇に置いておくが、彼らは今やキャンパーたちから大人気の動物へと変わっていた。
 ヒネズミの背中を何度かヒノキの葉か何かでこすってやると着火する。そのあとは定期的にヒネズミに油を食わせてやれば背中でごうごうと燃える火はそのまま持続してくれるのだ。火を消す場合はヒネズミに水をやればよい。すぐに火の勢いは衰えて静かになるだろう。火種が残る心配もなく必要な時に必要な分だけ火を起こせるというのは初心者キャンパーにも熟練のキャンパーにも非常に便利なものであり、今やキャンプ場ではヒネズミを飼育しているところも多いと聞く。
 ただ気を付けてほしいことが一点ある。火鼠の皮衣といえばそれで身を包んで火の中に飛び込んでも燃えないという不思議な服が織れるという話だが、現実はそう簡単にはいかないものだ。ヒネズミの表皮は確かに火に強く包まれていれば肌を焦がすこともないが、わずかでも外側がこすれるとそこから発火し周囲に火をまき散らしてしまう。自分を守れても周囲も安全とは限らないため、日常で利用する場合にはヒネズミ取り扱い管理資格を取得してからにしてほしい。畳む


特別に斬新でもないネタなのでどっかでネタ被りがあるんじゃないだろうかと戦々恐々としている……ふと思いついただけの話なので決してパクリではないのだけれど……有名な話だしね……
#一種異様生物
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第一種異様生物対策課 広報班の第一報

第一種異様生物対策課 広報班の第一報

 奇々怪々なる生命たちの活動に、僕はとても強く関心を惹きつけられている。
 僕の所属している課は公的機関の中ではあまり目立たないところだ。「第一種異様生物対策課」という、なんのひねりもない名称の課は、とにかく奇妙な生き物たちを扱っている。通常の、例えば外来種なんかと違うのは、この生物たちは僕たちが知る既存の生命とは全く違う特殊な生態をしていることだった。
 簡単に説明するならば重力に逆らうような動きをしたり、非常に特殊な素材を巣にしていたり、少なくとも既知の生物たちとは全く違う彼らの活動は一切予想ができない。研究者たちは困りに困って、彼らを一種異様生物と呼んでいたわけだけれども、名称に困った政府はそれをそのまま採用してしまった。一種異様とは『どことなく普通とはちょっと違ったさま。 一風変わった様子。(コトバンク)』を指す言葉らしい。こういった生物たちにぴったりの名前かもしれなかった。
 彼らは大抵害はない存在だ。けれども彼らの中にも非常に危険な生物たちはいる。人間の生命を直接脅かすような困った生き物たちも確かに存在するのだけれど……その一方でさほど困りもしない不思議な生き物たちも確かに存在するのだ。
 これは第一種異様生物対策課の中でも、新たに設けられた広報班の、僕たち自身の活動を世界に広めようという新しい試みの一つだ。ちょっとだけWEBデザインの技術をかじったことのある僕が、どうにもならない技術でなんとかWEBページを運営していくのだけれど、でもなぁ……広報班は僕ともう一人の先輩だけなんだよな……と思うと少し気が重い次第である。
 そんな第一報。

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#一種異様生物
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雲に根を張る植物の話。

雲に根を張る植物の話。

 ぶらりと垂れ下がったミノムシのようなものが飛行機の窓から見えていた。あれは何だろうかと窓から目を凝らして眺めていてもそのうちに雲に入ってしまったため何も見えなくなってしまう。けれども雲の上に出てあっと驚いたのは、雲の上にも見たことのない植物のようなものがふわふわと浮いていたことだった。輪郭だけで構築されたそれは、雲の上に浮いているワイヤーアートのようでもある。児童向けファンタジーに登場するような幻想的な空の世界に似ている。パイナップルのように鋭くとがった葉が重なり合って、その中央に大きな花が咲いていた。
「お母さん! 双眼鏡!」
「トランクに入れて預けちゃったねぇ」
「ええー! だってほら!」
 指さすとそこにはもう何もなかった。まるで幻想そのものであったように、雲上にはただただ真っ白な世界が続いているのだ。
 雲の上に出現し、さらに生息する範囲が狭いため飛行機の窓から覗いている程度ではあっという間に見えなくなってしまうため、長い間この植物の実態が分からなかったのだが、最近の研究でこの植物がどうやら雲に根を張る植物であることが判明した。
 雲は水蒸気で出来ているが、この植物は通常空中を浮遊して生活している。ただ空はやはり水が少ないため、雲に行き当たるとこの植物は雲の合間に根を張って、水分を吸い取りながら成長していくのだ。
 雲が流れるままに、わずか一日の内に根を張る。種の中にはさらに小さな種を内包しており、これらは水を吸うことで大きく膨らんではじけ飛ぶ、そうしてまた長い間空を漂う生活を送っている。風に飛ばされるほど軽く、雲に流されるようにぶら下がっている分にはさほど問題ないのだが、実はこれが飛行機の航路に入ってしまうと大問題を起こすことがある。機体にぶつかったところでさほど大きな問題を起こさない程度に小さなものだが、それがエンジンに入り込んでしまい大事故を引き起こしそうになった事例が過去にも何件か存在している。
 雲を超えるほどの上空でこれらの植物を採取することが難しく、さらに地上では育成ができないことから研究はほとんど進んでいない。早いところ人間も雲の上で生活できるようになるといいのだが、その日はまだ先のことになるかもしれなかった。

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#一種異様生物
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